コンデンサに関する知識は、
単に公式を丸暗記するのではなく、
内容をしっかり理解することが大切です。
最終的には、
電場の観点からコンデンサを
考えられるようになることが
目標です。
そこまで理解できれば、
この分野は「卒業」と言ってよいでしょう。
コンデンサの問題には大きく2種類あります:
金属板コンデンサ(電場・電荷の問題)
回路中のコンデンサ(電気回路の問題)
この2つは解き方や考え方が異なるため、
区別して理解することが重要です。
金属板を2枚、
平行に向かい合わせて配置したものを
平行板コンデンサといいます。
このとき、金属板が作る電場は、
ガウスの定理を使って求めることができます。
そして、
2枚の金属板による電場を
組み合わせることで、
コンデンサ全体の電場の様子を
理解できます。
コンデンサの外側:電場は0になります
コンデンサの内側:電場は板間の位置によらず一定です
この中でも特に重要なのは、
「コンデンサ内側の電場は一定である」
を必ず覚えることです。
この性質は、
今後の問題を解くうえで
非常に重要になります。
■電場と電圧の関係
コンデンサ内の電場は一定なので、
以下の関係が成り立ちます:
V=Ed
ここで、
V:電圧 E:電場 d:板間距離
電圧V が電荷Q に比例することから、
Q=CV
という式が成り立ちます。
このときの比例定数C を
電気容量といいます。
電場E と 電気容量C の
定義を理解しておけば、
電気容量C の公式を無理に
暗記する必要はありません。
この「Q=CV」の式は、
コンデンサの問題での
基本中の基本になります。
覚えておくべきポイント
・金属板の表面には電荷が分布します。
・金属内部の電場は0になります
(これは導体内部の基本性質です)。
・金属内部は電位差が0、
つまり等電位面になります。
例:1/3の位置に金属板を挿入した場合
金属板の外側、つまり
金属板の前後の領域では、
電場は一定のままです。
なぜなら、
コンデンサ内の電場は距離に依存せず、
挿入された金属板が
その影響を遮断するわけではないためです。
このように、
金属板を挿入した際の電場の変化と、
電位の扱いをしっかり理解しておくことが重要です。
誘電体についての詳しい内容は
各自で調べてほしいのですが、
ここでは簡潔に説明します。
誘電体をコンデンサに挿入すると、
誘電体の表面に電荷が誘導されます(誘電分極)。
この誘導電荷によって
誘電体内部の電場は打ち消され、
全体として電場が弱まります。
電極間に生じる元の電場に対して、
誘電体が作る反対向きの電場が加わることで、
電極間の合成電場は小さくなります。
その結果、
同じ電圧でも
多くの電荷を蓄えられるようになり、
電気容量(C)が増加します。
誘電体は、電場を弱める働きがあるもの
として覚えておけば十分です。
「比誘電率」とは、
誘電体の誘電率と
真空の誘電率の比のことをいいます。
比誘電率×真空の誘電率 = 誘電率
比誘電率と誘電率を
混同しないように注意しましょう。
出題者の傾向(癖)にもよりますが、
意図的に狙って
出題されることもあるので、
確認する事が必要です。
誘電体を入れると、
内部の電場は誘電率に応じて弱まります。
ただし、
誘電体中でも
電場の強さは一様(一定)
であるという点も重要です。
対となる金属極板が作る電場によって、
金属極板は力を受けます。
自分自身が作る電場の影響は
考慮しないことに
注意してください。
コンデンサ全体の電場をE とした場合、
対の金属極板が作る電場は 1/2 E となるため、
金属極板が受ける力は以下のように表されます:
F = 1/2QE
電場のする仕事とは、
電荷Q を電位差に従って移動させることです。
コンデンサでは、
電荷を徐々に蓄えることが
この「仕事」に相当します。
このエネルギーは、
電荷—電圧グラフにおける
面積から求められます。
そのまま確実に覚えたほうが良いです。
■コンデンサでのエネルギー保存則
あまり強調されなく
公式化になっていないこともありますが
超重要です。
ΔU =
(変化後の静電エネルギー)
―
(変化前の静電エネルギー)
と計算します。
一見単純なようですが、注意すべき点は、
Q(電荷)かV(電圧)の
どちらが固定かを明確にすることです。
電源につながったまま → V固定
電源から切り離された状態 → Q固定
によって、
使用すべきエネルギーの式が変わります。
運動エネルギーの変化はない
エネルギーの出入りだけを考える
🔼 エネルギーのIN
(外部から供給される)
🙋♂️ 人の仕事
板を動かしたり、コンデンサを操作することによる仕事
外力が加えた仕事が正、 受けた場合は負
※ケースによって、
「人だけ」または「電池だけ」
が関与する場合もある。
🔽 エネルギーのOUT
(内部で使われる)
🔥 ジュール熱
電流が流れて抵抗で失われたエネルギー
抵抗を含む場合に必ず発生
コンデンサ内のエネルギー変化を正しく計算する。
人や電池の仕事を正しい符号で扱う。
必ず エネルギー保存則 の形に整理して、全体のバランスで解く。
覚える項目は多くありますが、
内容自体はそれほど複雑ではありません。
あとは、
演習量を増やして
理解を深めていくことが大切です。