エネルギー

仕事

■仕事の定義について

 

仕事とは、物体がある経路を移動するときに、

力がその経路に沿ってする

エネルギーのやりとりのことです。

 

 

定義式は次の通りです:

仕事 = 経路に沿った距離 × 経路に沿った力

 

これは積分の考え方に基づくものであり、
が一定でない場合は、

グラフの面積などを使って求める必要があります。

  

注意点:

 経路と逆向きの力が作用する場合、

 仕事は負になります。

 

したがって、

外力の向きを正確に判断する

ことが重要です。

 

 

 

経路に沿った力とは、

力ベクトルを

軌道方向に射影した量であり、
これはベクトルの内積として表されます。

 


仕事とエネルギー

■運動エネルギーと仕事の関係

 

物体に仕事が加えられると、

その物体の運動エネルギーが変化します。

 

これは、

運動エネルギーと仕事の関係を

表す重要な式であり、
物理的な因果関係(原因と結果)

を示しています。

 

運動方程式と同様に、

「何によって運動が変化したか」を

考えるときに使われます。 

 

ここで登場した

運動エネルギーという量について、
この式がどのように

成り立つのかを

確認しておくことが大切です。

 

■運動エネルギーと仕事の関係(成り立ち)

 

 

運動エネルギーの式の

成り立ちは簡単ではありませんが、

「運動量を速度 で積分したもの」

と捉えることができます。

 

したがって、
運動エネルギーと仕事の関係は、
運動方程式を変形することで

導かれるものです。

 

この関係を利用するときには、

次の点が重要になります:

 

  • 外力が何かを特定する(外力の検出)

  • 外力の向きを正確に把握する

  • 外力が加わる経路(移動距離や方向)を考慮する

  

式の左辺にある

運動エネルギーの変化は、
運動エネルギーが常に正の値を取るため、

次のように表せば十分です:

 

運動エネルギーの変化 =

(運動後)−(運動前)

 

 

エネルギーが増えれば正、

減れば負になるので、
この引き算の形で問題ありません。

 

 

エネルギーの問題は、

基本的には仕事の計算だけで

解くことができます。

 

しかし、

経路が複雑な場合や、

力が一定でない場合には、

仕事の計算が難しくなる(解けない時もある)

ことがあります。

 

 

そのため、
力学的エネルギー保存則

活用することも非常に重要です。 

 


力学的エネルギー保存則

まずは、
位置エネルギーと仕事の関係

について見ていきましょう。

 

式だけでは分かりにくい部分もあるので、
例として「重力」による場合を

考えてみましょう。

 

 

重力による位置エネルギー:

U = mgh

 

重力によって仕事がなされると、

物体の高さはどうなるでしょうか?

 

 

そうです、高さは低くなりますね。

 

つまり、
位置エネルギーは減少する

ことになります。

 

仕事をすればするほど、

位置エネルギーは減少します。
したがって、

重力による仕事は

「–W」となります。

 

補足すると、

「位置エネルギーの変化 = −(重力がした仕事)」

という関係は、


保存力(重力など)による仕事は、

位置エネルギーの減少として現れる

という原理に基づいています。

 

位置エネルギーに関係する力には、

以下のような保存力があります。

  • 重力

  • 弾性力(ばねの力)

  • 万有引力

  • クーロン力(電気力)

 

これらはすべて保存力と呼ばれ、

位置エネルギーを定義できる力です。

 

■力学的エネルギー保存則について

 

運動エネルギーの変化は、

位置エネルギーの変化と密接に関係しています。


位置エネルギーと仕事の関係に基づいて、

「運動エネルギーの変化 =

   –(マイナス)位置エネルギーの変化」

 

という関係が成り立ちます。

このことから、

 

運動エネルギー + 位置エネルギー =

一定(=力学的エネルギーの保存)

 

 

 

となり、

力学的エネルギー保存則が成立します。

 

この保存則を使うためには、
外力が位置エネルギーに関係する保存力

(重力、ばねの弾性力、万有引力など)で

あることが必要です。

 

しかし、
外力が存在していても、

その仕事がゼロになる場合には
力学的エネルギー保存則を

利用できることがあります。

 

 

これは、しばしば

暗黙の了解 として扱われるため、
解答を見て「なぜ使えるの?」と

疑問に思った経験がある方も

多いのではないでしょうか。

 

「なぜ物体Aだけでなく、
急に物体Bまで含めて

力学的エネルギー保存則

使うんだろう?」
…と思ったことはありませんか?

 

このような点については、
教科書や解答で

明記されていないことが多いです。

 

そのため、
「知らずに物体を限定してしまい、

力学的エネルギー保存則が使えなかった(間違えた)」
という経験がある方も多いのではないでしょうか。

  

さらに具体例として、

 ・外力が常に物体の移動方向と垂直な場合

  (例:張力や法線力)

     ・動きが限定され、力が仕事をしない状況

  (例:斜面上の物体に対する垂直抗力)

 

 

力学的エネルギー保存則は、
対象とする「物体系」全体に注目して

使うことが大切です。

外部からのエネルギーの出入りがないなら、

複数の物体をまとめて考えるのが自然です。

  

エネルギーや仕事に関する問題は、
基本的に
「運動エネルギーの変化 = 仕事」
の式で解くことができます。

 

しかし、仕事を求める際に、
円運動などのように

経路が複雑な場合には、
移動距離を正確に

計算するのが難しいこともあります。

 

 

そのような場合は、
経路に依存しない
力学的エネルギー保存則

利用すると、
より簡単に解けることがあります。

 

力学的エネルギー保存則は、

「保存力(重力や弾性力など)」

だけが働いているとき、
運動エネルギーと位置エネルギーの

合計が一定になるという法則です。
経路に関係なく

始点と終点のエネルギー差だけで

解けるため、非常に便利です。

 

エネルギーに関する問題では、
運動量保存則と併用することが多いため、

 

エネルギーの演習を終えた後は、
運動量保存則力積の演習
あわせて行うようにしてください。