ドップラー効果

原理 解説

ドップラー効果の公式を導く問題です。

 

このような問題では、

自分の知っている方法で導くのではなく、

問題の誘導に従って解答する必要があることに注意してください。

 

この問題は、

ドップラー効果の公式を覚えるための

補助問題ではないという点を理解しておきましょう。

 

 

なお、

ドップラー効果の公式そのものは、

原則として覚えるべき内容です。

 

ドップラー効果の公式を導く問題には、

主に3つのパターンがあります。

 

試験本番でそれぞれに対応するのは、

簡単ではありません。

 

どのパターンにも確実に対応できるよう、

あらかじめ十分に演習しておくことが重要です。

 


a.

ドップラー効果 原理 波長、振動数

波長や振動数を「波の個数」

として捉える問題です。


最もよく出題されるタイプであり、

波の数を数えることがポイントになります。

 

 

たとえ公式「λ = V / f」を知っていても、

それだけでは解けません。


公式の意味をしっかり理解し、

実感を持って捉えることが大切です。

 

動かないときの

各パラメータの意味

 

波長(λ):波1つ分の長さ

振動数(f):1秒間に届く波の個数

音速(V):音が進む速さ(1秒間に進む距離)

 

音源が t秒間 音を出したとします。

音が伝わった距離は

l = Vt

この間に出た波の個数は

N = ft

1つの波の長さが λ なので、

波全体の長さは

λ × N = λft

波の長さ全体と

伝わった距離は等しいため
l = λft=Vt

このようにして、

V = λf が導かれます。

 

この方法を使って、

音源が動く場合や観測者が動く場合に、

観測者が聞く音の振動数(ドップラー効果)を求めます。

 

[1] 動かない場合

説明の内容に従い、

問題文の指示どおり

計算を進めてください。

[2]音源が動く場合

音源が動いている場合、
音源はf0 t 個の波を発しており、

また音源が動くことで

観測者との距離が短くなる点に

注意して計算します。

[3] 観測者が動く場合

この問題において、
観測者が動く場合は

扱いにくいポイントとなります。

 

この場合、
波長は変化しないことを覚えましょう。

そのため、観測者が動くことで

受け取る波の数に増減が生じます。

 

この増減を元の振動数 に加味して、

振動数を求めます。

振動数の増減は、

観測者の移動距離を

波長で割ることで計算できます。

この例では

観測者が遠ざかる場合なので、

差として扱いますが、

 

近づく場合は和として計算します。

[4] 音源が動き、観測者も動く

図[2]や[3]のように

視覚的に求める方法もありますが、
ここでは問題文に従い、

音源が止まっていると仮定します。
そのため、元の振動数 ではなく、

振動数 を発していると考え、

[3]のような、

観測者が動く場合の振動数を求めます。

 

最後に、公式とあっているか

確認します。


b.

ドップラー効果 原理 時間差、周期

ドップラー効果が起こった時刻を求め、
ドップラー効果が起こっていない場合の

時刻との差から、
ドップラー効果を求める問題です。

 

この方法は、

今回のような直線上の場合に限らず、
斜め方向や風の影響がある場合でも、
ドップラー効果の式を導く際に

よく出題されます。

ポイントはいくつかありますが、
特に「時刻」と「時間」の

区別をすることが、
混乱を招く重要なポイントです。

 

整理して解くようにしましょう。

 

後半の時刻 に発した波が

時刻  に届くため、
の時間となります。
このように「」の和を計算することを

忘れないようにしましょう。

 

最後に、

時刻 までに発せられた波の個数が、
t
〜  の間に観測者が受け取る波の数

となります。

 

この 赤字部分 をしっかり理解し、

確実に使えるようにしましょう。

この問題では、

赤字部分 を感覚的に

思い出せるよう演習しましょう。

このタイプの問題では、

Δtを1sや周期Tで扱うことが

よくありますが、仕組みは同じです。

t2 の時刻の計算と

振動数の関係の

赤字部分を利用して

問題を解きます。

一つ一つ丁寧に考えていけば、

理解できると思います。

同じように解きましょう。

時刻t3,t4であることに

であることに

気をつけましょう

[1] [2] と同じようにして

計算しましょう。


c.

この問題は、

波の式をもとに

ドップラー効果の式を導くものです。


波の式の基本的な理解と、

前問 a・b をしっかり押さえていれば、

十分に解ける内容です。

 

が観測する波 を、

x=0の波y(0,t)を利用して

求める問題です。

 

 

ドップラー効果の考え方では、
時刻 において観測者

速度で移動しているため、
位置は とする

必要があります。

位置 x から

位置 を見ると、
それは過去の位置に相当するため、

 

波が に届くまでの時間、

つまり x / V を
引けばよいことになります。

 

観測される振動数は、

波の時間変化の項  をもとに、
実際に観測されるf

比較することで導きます。

 

問題文にある

で発した波が、

観測者の受け取る波の変位になる”
という関係、すなわち

ys(t1) = y'M(t)

が読み取れれば十分です。

 

時刻  に関する関係式は、
b.の問題の

復習にもなっています。

 

あとは、それぞれの設問について、

問題文に従って求めていきましょう。


ドップラー効果の公式を

求める問題でした。

 

 

b,c の問題は、

初見では難しいことが多く、
何度か繰り返し練習しておく必要があります。

また、たとえ解いたことがあっても、
「公式を導く問題である」という

意識を持って取り組むことが大切です。

 

わかりにくい問題でもあるので、

お手持ちの問題集に類題があれば、
併せて「どのパターンに当てはまるか」を

意識して、解けるようにしておきましょう。