直流回路2

演習解説

 

非線形素子やダイオード素子など扱う
回路となり,すべて難問の部類に入ります。

しかし、

電流と電圧の関係がグラフで与えられている
ことに慣れれば、これまでと同じ回路問題となり、標準的な問題といえるでしょう。
ここにある問題で慣れ、
同様の問題で演習していきましょう。


a.

電気回路 非線形抵抗 電球

非線形抵抗(Rが一定ではない)素子を含む
回路の問題です。

グラフから電流や電圧を読み取ります。

このとき、素子を流れる電流と電圧の関係式
との交点で求めることが多いです。

電流と電圧の関係式は、多くの場合、
回路方程式になります。

この式とグラフの交点を求めればよいことになります。

 

 

この問題で注意すべき点は

  1. 素子の電流・電圧を用いること。
  2. 交点を読み取った後、
    必ず式に代入して正しいか確認すること。

1.回路全体を流れる電流を利用しない。

同じ場合もありますが、素子を流れる電流にすることに注意してください。

 

2.読み取りにくい値が解答となる場合も
頻繁にあります。

したがって、
「読み取った結果が付近だから〇」と判断することは絶対に避けてください。

関係式を満たさない読み取り値は、
すべて不正解(×)となります。

演習の際に、読み取った値をそのまま解答し、答え合わせのときに「付近だから正解」としてしまうと、

実際のテストでは不正解になってしまうので
注意してください。

 

特に、
読み取り値がグラフの罫線上にない場合は、出題者が意図的にそう設定していることが多く、

誤答を誘っています。必ず覚えておきましょう。

a

1)

回路方程式から、50Vの時の

電流を読み取れば良いことになります。

100V時で1.0Aは×です。

素子の電圧で読み取りましょう。

読み取り値については、関係式が無いので

付近でも問題ありません。

電力は、VIなので、積から計算します。

2)

素子を流れる電流を I₁ として

回路方程式を作成します。

次に、関係式とグラフの交点を読み取ります。

直線の場合は、
切片を用いた式の形で表しておくと

直線が引きやすくなるため、
活用するとよいでしょう。

 

交点の値については、

必ず関係式に代入して
正しいことを確認してください。

3)

同じように、

素子を流れる電流を I₁ として
回路方程式を作成します。

並列回路なので電圧が同じになることから、

各素子に流れる電流は等しくなります。

したがって、抵抗を流れる電流は 2I₁ となり、

これを用いて関係式を作成します。

 

次に、関係式とグラフの交点を読み取ります。

 

4)

同じように、

素子を流れる電流を I₁ として
回路方程式を作成します。

この場合、

1つの素子の電圧が単独では決まらず、

電圧の和による関係式になります。
問題によっては、

与えられた条件を使って関係式を補う
必要がありますが、

この問題には追加条件はありません。

ここで注意が必要です。

電流は共通なので、ある電流値を決めれば
各素子の電圧が自動的に決まります。
したがって、右図のように「電圧の和」を示す概略グラフを作成し、

このグラフと回路方程式の交点を
読み取ります。

5)

同じように、

素子を流れる電流を I₁ として
回路方程式を作成します。

この場合、素子が異なるため、

L₂ を流れる電流は I₂ とします。
電流の和による関係式になります。

この問題では電圧が共通なので、

ある電圧値を決めれば各素子の電流が自動的に決まります。
したがって、右図のように「電流の和」を示す概略グラフを作成し、

このグラフと回路方程式の交点を
読み取ります。

 

ただし、

この場合、交点の値は読み取りにくいです。
グラフの交点を曖昧に「この辺りだから正解」と判断してしまうと、

入試では誤答となります。
必ず関係式に代入して確認し、正しい値を解答してください。

 

6)

同じように、

素子を流れる電流を I₂ として
回路方程式を作成します。

しかし、

この場合は R が変数となるため、
直線が定まりません。
ほかの情報を確認すると、

電力に関する条件が与えられているので、

これを検討します。

という素子の関係式になり、

これは双曲線の形をとります。
したがって、グラフを描くことができ、

このグラフと回路方程式の交点を
読み取ります。

 

最後に、読み取った値を回路方程式に代入して、抵抗 R を求めます。

 


b.

抵抗以外でも、対称性は成立します。

対称性に気が付かないと

正解することは困難です。

1)

L1の電流をI1,Rの電流をIとして、

回路方程式を作成します。

2式から、Iを削除して

I1,V1の関係式にします。

グラフから交点を読み、

関係式に代入して

成立することを確認して

Iを計算します。

 

2)

同様に電流を設定します。

rに流れる電流=0、等電位

になります。

回路の対称性から

I1=I2がわかります。

関係式を作り、

グラフから交点を読み、

関係式に代入して

成立することを確認して

I1,V1から、電源電圧を計算します。

3)

a)

2) でも使いましたが、

回路の対象性を確認します。

L1,L2は同じ素子なので、

対称性がわかり、

素子に流れる電流は同じになります。

b) , c)

対称性を利用して

回路方程式を作成します。

素子の電流、電圧の関係式になることに

きおつけて、直線の式と

グラフの交点を読み取ります。

rを流れる電流を計算します。

a->bが正として電流を決めているので

そのままの値で回答します。


c.

回路演習 ダイオード

p側が高電位のときには電流が流れ、
n側が高電位のときには電流は
ほとんど流れない素子です。

問題によって、
電流が流れるときの電圧vaは異なりますが、
電流が逆向きになることはありません。

間違えやすいポイントとして、
電流が流れないときでも電圧が 0 になるとは限らず、

 

負の値をとる場合があることに注意してください。

[1]

ダイオードに流れる電流、電圧を設定して、

回路方程式を作成します。

関係式から、グラフの交点を読み取り、

ダイオードでの、電流、電圧を読み取ります。

電力はIVで計算します。

[2]

電流が流れているときから、
電流が流れなくなったときを考えます。

したがって、
条件はi=0、v=0のときでよいです。

この条件をもとに回路方程式を作成し、計算を進めましょう。

さらに抵抗を減少させていくと、
ダイオードの電圧は負になります。

 抵抗 R を代入して計算すると、
ダイオードの電圧が求められます。

解答は電圧なので、正としています。
グラフのメモリなどに負もあるので、-0.8としても良いです。


d.

スイッチがxの位置にあるとき、
回路はダイオードと抵抗の
直列接続になります。

 ダイオードの電流と電圧を
それぞれI,Vとして回路方程式を立て、
さらにグラフに示された電流と
電圧の関係式を用いて電流を求めます。

同様に、
コンデンサに電荷を設定して
回路方程式を立てます。

十分時間が経つと電流は0となり、
このときダイオードの電圧はVaになります。

ここから電荷を計算します。

静電エネルギーは、
求めた電荷を用いて計算できます。
また、消費エネルギーは
エネルギー保存則に基づいて求めます。

[2]

回路方程式を立てて計算します。

十分時間が経過すると、コンデンサの電流は 0になります。

このとき、ダイオードの電圧が 0 となり、

あとは計算を進めることで電荷を求めることができます。

まず、ダイオードの電位を考えてみましょう。

切り替え直後はコンデンサの電荷が
そのまま残っているため、
XY間の電圧は2E となります。

このとき、Xの方が電位が高いため、
電流IAは0のままとなります。

以上を踏まえて、それぞれ代入し、
計算を進めていきます。

この場合も、
ダイオードの電位について考えてみましょう。

十分な時間が経過するまでに、
Yの電位が
Xの電位より大きくなることはありません。

したがって、常にIA = 0となります。

このことから、
XからYへ電流は流れず、
電荷保存則が成立します。

そこで、
この保存則を利用して電荷を計算します。